馬の辞典:サラブレッド
Thoroughbred
サラブレッドは、世界で最もスピードがあり、最も高価な馬である。この馬をめぐって競馬ならびに生産という巨大な産業が形成されている。この品種は、17世紀および18世紀に英国に輸入されたアラブの種牡馬と在来種の”ランニング・ホース”と呼ばれていた馬とを交配させてつくり出された。
由来
ヘンリー8世以来つづいた専制のあいだ、王家の馬屋が設けられ、そこでスペインならびにイタリアからの輸入馬をアイリッシュ・ホビー、スコティッシュ・ギャロウェイと交配することで”ランニング・ホース”がつくり出された。これに引きつづき、東洋の馬の血によって能力の強化が行われた。さらにチャールズ2世が1660年に即位し、ニューマッケットを競馬の本拠地として以来、その勢いは加速された。この品種には根幹となった3頭の種牡馬が存在している。すなわり、バイアリー・ターク、ダーレー・アラビアン、ゴドルフィン・アラビアンである。バイアリー・タークは、ロバート・バイアリーがブダの戦いで手に入れ、1690年のボインの戦いでは、彼が騎乗した。この馬の直系の子孫から、サラブレッドの4大血統を築き上げることになる4頭の馬、すなわちヘロド、エクリプス、マッチェム、そしてヘロドの子であるハイフライヤーが生まれた。ダーレー・アラビアンは、1704年にアレッポから連れてこられ、ヨークシャーで繁養されたいた。この馬は最初の偉大な競走馬であるフライング・チャイルダーの父であり、エクリプスの系統の一方の始祖でもある。マッチェムの系統には1728年に英国へ連れてこられたゴドルフィン・アラビアンが大きな貢献をしている。
気質
サラブレッドは肉体的にも精神的にも強い忍耐力を有している。非常に勇壮で、他の馬ならあきらめてしまうような場面でも走りつづける。また、非常に興奮しやすく神経質で感受性豊かで気難し屋である。
早熟な品種
現代のサラブレッドは若くして成熟に達するように育種されており、馬は2歳で競馬に出走する。この慣習には無理があり、多くの若駒が過労から故障を起こしてしまう。この慣習は、主として経済的理由によりつづけられてきている。
歩様
サラブレッドは歩幅が広く、重心が低く、無駄のない動きを示す。後肢、特に尻から飛節までが長く、襲歩時に後肢が可能な限りの推進力を発揮する。
頭部
サラブレッドの頭部はすっきりしていて細く、そして非常に美しく、皮膚は下の静脈が透けて見えるくらい薄い。横顔は、祖先であるアラブとはちがって直線的である。眼は大きく利発そうで、鼻孔も大きい。下顎に余分な肉はなく、耳は敏捷でよく動く。
体高
競走用のサラブレッドの平均体高は160〜162㎝だが、これよりも高かったり低かったりする馬もしばしば見受けられる。